自宅庭園設備も、財産評価基本通達92(3)に定める「庭園設備」として評価するのが相当
家屋を相続する際には、その家屋の評価額に相続税が課税される。
しかし、庭木、庭石、東屋、池などの価額は家屋とは別に計算する。財産評価基本通達92(3)によると、庭園設備の評価額は、現状の庭園をもう一度作り上げた時にかかる費用(調達価額)の70%相当額で評価をするということになる。
相続した自宅の庭園設備の評価を巡って、調達価額の70%相当額として評価すべきか否かの判断が争われた事件がある。この事件は、相続人(審査請求人)が相続によって取得した自宅庭園の評価について、原処分庁が財産評価基本通達の定めによって評価すべきであるとして更正処分等を行ってきたことから、請求人側が庭園の時価は零円であるから相続税の課税対象とはならないなどと主張して、原処分の取消しを求めて審査請求したという事案である。
そこで請求人側は、被相続人の自宅庭園(庭園設備)について、個人宅の庭であり、その立地条件等からしても庭園設備を一体として売却できず、また立木や庭石、灯篭等を個別に売却するとしても買取価額は低額である上、実際に買手が見つからないことから交換価値がなく、財産評価基本通達92(3)は適用されない旨主張して、原処分の取消しを求めたわけだ。
裁決はまず、財産評価基本通達92(3)は、「庭園設備」について家屋の固定資産税評価額に含まれていないことから、金銭に見積もることができる経済的価値のある全てのものが相続税法に規定する財産であることに照らし、家屋とは別に独立した財産として評価すべきであるとしたものと解するのが相当と指摘。
その上で、この事案の庭園設備の場合は、家屋とは別異の設備として、複数の業者によって金銭に見積もることができる経済的価値が認められているものであることからして、家屋とは別に独立した財産として評価すべきであると認定。
また、その庭園設備は造園されたものであるから、庭石商の店頭におけるように、立木や庭石、灯篭等を個別に売却することを前提に評価することは相当ではなく、経済的価値が認められているものであるとも認定した。
その結果、庭園設備の相続税の課税価格に算入される価額は、財産評価基本通達92(3)に定める方法によって評価するのが相当であると判断して、審査請求を棄却した。
https://www.kfs.go.jp/service/JP/130/08/index.html