振り込め詐欺などの違法行為から得られた所得に対する課税関係

課税所得となる所得の範囲の議論と関連して、振り込め詐欺などの違法とされる行為から得られた利得が所得税の課税対象となるかについては、課否両論があります。
「違法とされる所得」は課税すべきではないとする立場からは、①課税することは国がその違法とされる行為にお墨付きを与えているととられかねない、そして②違法とされる行為による利得はいずれ被害者に返還されるべきものである、といったことがその論拠としてあげられるそうです。
一方で、包括的所得概念の考え方からすれば、個人がその収入等の形で新たに得た経済的利得はすべて課税対象とすべきであり、利得を得るための行為そのものの善悪は課税とは無関係であるということになります。
税務当局の通達が、所得税法第36条の「収入金額」について、「その収入の基因となった行為が適法であるかどうかは問わない」(所得税基本通達36-1)としているのも、同様の考え方に立つものといえるでしょう。

https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/05/01.htm