3,000万円特別控除と買換え特例はどちらが得なのか

 こんにちは、税理士の的場です。
 今月も残り僅か、あっという間の1月でした。それもそのはず、前半はコロナ罹患からの風邪を患い、ほとんど休養しておりました。

 さて、譲渡でよく出てくる「3,000万円特別控除と買換え特例はどちらが得なのか」というテーマでまとめてみました。 
 不動産を売却して利益が発生した時には、得られた利益額に応じて所得税と住民税がかかります。
 利益額が大きいほど納める税金も上がるため、税金を安く抑える特例制度を使わない手はありません。
 一定の要件を満たしていれば、譲渡所得には、3,000万円特別控除や特定居住用財産の買換え特例が適用されますが、ダブル適用はできません。
 では、3,000万円特別控除と特定居住用財産の買換え特例は、どちらを利用した方が得なのかをみていきましょう。

3,000万円特別控除とは

 3,000万円特別控除とは、居住用の不動産を売却した場合に、所有期間に関係なく譲渡所得から特別控除として、最大3,000万円を差し引くことができるという特例です。
 そのため譲渡所得が3,000万円以下なら税金がかからず、それを超える部分にのみ課税されます。
 ・居住用不動産の所有期間:不問
 ・居住期間:不問(生活の本拠として住むこと)
 ・特例内容:譲渡益から3,000万円を控除
 ・買換えした資産の売却時の取得額:新たに取得した住宅の取得価額
 ・買換えた住宅を翌年、翌々年売る際の譲渡所得税:新たに出た譲渡所得に対して短期譲渡所得

特定居住用財産の買換え特例とは

 特定居住用財産の買換え特例とは、居住用の不動産の所有期間が10年を超え、居住期間が10年以上の場合に、居住用の不動産を売却した金額より買い換えたマイホームの購入金額の方が大きければ、買い替えの際、売却益に対する譲渡所得税等は課税されず将来に繰り延べできる制度です。
 課税の繰り延べであるため、税金の支払いを免除される訳ではないので注意してくださいね。
 ・居住用不動産の所有期間:10年超
 ・居住期間:10年以上
 ・特例内容:買換時の譲渡益の課税を繰り延べる
 ・買換えした資産の売却時の取得額:買換えで売却した住宅の取得価額を引き継ぐ
 ・買換えた住宅を翌年、翌々年売る際の譲渡所得税:引き継いだ取得価額を超える譲渡所得に対して短期譲渡所得

3,000万円特別控除と特定居住用財産の買換え特例は併用できない

➀3,000万円特別控除と特定居住用財産の買換え特例とは選択制
売却した年、その前年及び前々年にどちらかの適用を受けていると利用することができません。

②居住用財産買換えの特例を受けるため申告し、取得期限内に取得できなかった場合、災害等、その者の責めに帰せられないやむを得ない事情がある場合を除き3,000万円の特例控除および、軽減税率の特例は受けられません。

3,000万円特別控除と特定居住用財産の買換え特例のメリット・デメリット

3,000万円の特別控除と買換え特例と、どちらが得かはケースバイケースです。それぞれのメリット・デメリットを比較します。
(1) 3,000万円特別控除
➀メリット
 ・3,000万円以上の利益が出るケースは珍しいため、この特例を使えばほぼ非課税になり、節税効果が大きい。
 ・共有名義のマイホームを売却した場合は、それぞれ特例を使って6,000万円まで控除することが可能
②デメリット
 ・国民健康保険に加入している場合、売却した翌年の国民健康保険料は、3,000万円が控除される前の所得を基礎として算出されるため、1年間保険料が値上がりしてしまう場合がある。

(2) 買換え特例

➀メリット
 ・買い替えた不動産を売却しない限り、課税されるタイミングは来ない。
 ・売却益が3,000万円を超える場合でも課税を回避できる。
 ・課税を繰り延べるので、国民健康保険は値上がりしない。
②デメリット
 ・課税が免除されるわけではないので、将来売却したときに課税される。
 ・長期的にみると節税効果があるとも言い切れない。

 買換え特例は「売却益が3,000万円を超えていて、買い替えた家をずっと売らない」場合なら、利用するメリットは大きいというのがポイントです。
 買換え特例は課税されるタイミングを先送りにするだけで、非課税になる制度ではなく、将来的なことを考えると得にならない可能性もあります。
 基本的には、売利益が3,000万円を超えることは稀であり、保有期間が10年超の場合、3,000万円の特別控除を利用した方が節税効果は大きいと言えます。

まとめ

・3,000万円特別控除とは、居住用の不動産を売却した場合に、所有期間に関係なく譲渡所得から特別控除として、最大3,000万円を差し引くことができるという特例です。
・特定居住用財産の買換え特例とは、居住用の不動産の所有期間が10年を超え、居住期間が10年以上の場合に、居住用の不動産を売却した金額より買い換えたマイホームの購入金額の方が大きければ、買い替えの際、売却益に対する譲渡所得税等は課税されず将来に繰り延べできる制度です。課税のタイミングを将来に先送りするため、税金の支払いを免除される訳ではありません。
・3,000万円特別控除と特定居住用財産の買換え特例は併用できません。
・3,000万円以上の利益が出るケースは珍しいため、この特例を使えばほぼ非課税になります。
・買換え特例は「売却益が3,000万円を超えていて、買い替えた家をずっと売らない」場合なら、利用するメリットは大きいものです。