「外注費」か「給与」か

 こんにちは、税理士の的場です。
 わたしは、税理士業以外に大学の非常勤講師をやっております。
 ここでどの所得になるのかが今回のテーマです。

 A大学では、業務委託契約として「外注費」としてお金をいただいております。
 B大学では、雇用契約として「給与」としてお金をいただいております。
 C大学では、業務委託契約として「外注費」としてお金をいただいております。
 ここで、A大学とB大学については、税理士としては間違えているのではないかと伝えたい。 本当に「外注費」なのか、実態は「給与」ではないのか、という点が税務調査でよく問題になります。

税務上の取扱いが異なります

「給与」になるか「外注費」になるかで、税務上の取扱いが「源泉所得税」「消費税」「社会保険」の取扱いで大きく異なります。
「給与」扱いであれば
 ・源泉所得税の天引き:必要あり(年末調整)
 ・消費税の控除:不可
 ・社会保険の加入:対象
「外注費」扱いであれば
 ・源泉所得税の天引き:必要あり(確定申告)
 ・消費税の控除:可能
 ・社会保険の加入:対象外

「消費税の控除」の視点

 外注費に該当すると、支払者側(会社や事業主)は、税務署に納める消費税を計算する際、その外注費に係る消費税を差し引いて納付することができるので、その分、納付税額が少なくなります。
 それに対し、給与に該当すると、消費税は発生していないため、消費税額を差し引くことはできません。

「社会保険の加入」の視点

 給与の場合には、社会保険に加入しなければならず、支払金額から差し引く必要があるため、手取り金額は減ります。さらに、会社負担分を支払う必要もあるため、会社の資金負担が増えます。

「その支払が給与になるのか、外注費になるのか」をどう考えればよいのかですが、これはお金をもらう本人にとっては、税法上では「給与所得になるか、事業所得になるか」と言い換えることもできます。

過去の判決最判(昭和56年4月24日)では次のように定義されています。
事業所得(払う側から言えば「外注費」)
 自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性、有償性を有し、かつ反復継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務から生ずる所得
給与所得(払う側から言えば「給与」)
 雇用契約又はこれに類する原因に基づき使用者の指揮命令に服して提供した労務の対価として使用者から受ける給付 ※給与所得については、とりわけ、給与支払者との関係において何らかの空間的、時間的な拘束を受け、継続的ないし断続的に労務又は役務の提供があり、その対価として支給されるものであるかどうかが重視されなければならない。

ひとつの見方とすると、次のように言えます。
事業所得とは「請負契約」に基づく所得
給与所得とは「雇用契約」の基づく所得
この区分が明らかでない場合については、次の事項を総合勘案して判定することとされています。

具体的な判断基準

「個人の外注先」に対しての支払が、「外注費扱い」なのか「給与扱い」なのかは、実務的に線引きが難しいのですが、日常的に出てくる判断として、次の9つの項目の総合勘案となります。
ただし外注扱いとする場合には、その個人の外注先が「事業所得として確定申告」していることは、重要な要素であり、大前提となりますので、ご注意ください。

①支払の根拠
 時給・月給→「給与扱い」、業務請負的な単価→「外注費扱い」
②請求書の発行
 ない→「給与扱い」、ある→「外注費扱い」
③指揮命令            
 作業の具体的な内容・方法等の細かな指示→「給与扱い」 、指示書などの交付にて通常程度の指示のみ→「外注費扱い」
④支払いの締日と支払日   
 社員給料の締日と支払日と同じ→「給与扱い」、会社の締日と支払日と同じ→「外注費扱い」
⑤福利厚生(忘年会等)   
 会社負担→「給与扱い」、本人負担→「外注費扱い」
⑥工具・用具等の負担       
 会社負担→「給与扱い」、本人負担→「外注費扱い」
⑦危険負担(材料の賠償等)            
 会社負担→「給与扱い」、本人負担→「外注費扱い」
⑧残業手当や通勤手当・賞与            
 ある→「給与扱い」、ない→「外注費扱い」
⑨タイムカード・出勤簿など勤務管理(時間的な拘束)            
 記入あり→「給与扱い」、記入なし→「外注費扱い」
是非、この9項目を参考にしてください。

わたしの場合
A大学は、②請求書の発行はなく、③指揮命令をうけ、⑥文房具やコピー用紙は大学のものを使い、⑨時間的な拘束をうける。したがって、「外注費扱い」ではなく「給与扱い」となるでしょう。