確定申告でよくあるご質問④

 こんにちは、税理士の的場です。
 先日も神田税務署での税務支援に行ってまいりました。
 「はい、大変お待たせ致しました、確定申告電話相談センター、税理士の的場です。」と言って対応します。
 なななんと、一日で74名の方のご質問に回答しました。
 ご質問の多い項目はこんな感じです。
 ・確定申告必要かな(年金生活者多め)
 ・住宅ローン控除の必要書類ってなに
 ・年末調整もれた控除はどうするの
 ・医療費控除でこれっていけるの
 ・自宅売ったけど譲渡所得だよね
 ・副業で20万円以下は確定申告いらないよな
 ・持ち株会の株についてなんだけど
 ・準確定申告について教えて
 印象に残っているご質問を紹介させていただきます。

株の配当金を受け取った

納税者X「A株式の配当所得については総合課税で申告して、B株式の配当所得については申告分離課税で申告しようと思っているのだけど、どうやるの?」
税理士Y「いや、それダメですよ。上場株式等の配当等に係る配当所得について確定申告する場合は、全部について、総合課税か申告分離のいずれかを選択しないとダメです。」
納税者X「うそでしょ…」
税理士Y「いや、本当です。わたし失敗しないので…」
納税者X「…(無言)」
後半はフィクションですが、前半はノンフィクションです。

配当金の確定申告について

株式投資を行っていて、確定申告を行う場合は以下の3つの方法のうちいずれかを選択することができます。
⑴総合課税を選択する
⑵分離課税を選択する
⑶申告不要制度を選択する

⑴確定申告で総合課税を選択する
総合課税では、給与所得や不動産所得などと所得を合算し、その所得水準に応じた税率に応じて配当に係る税額を計算します。
この計算によると所得が低い場合は申告不要制度を採用するよりも適用される税率が低くなるため確定申告をすれば有利になります。
具体的には所得控除を差し引いた後の金額が695万円以下の場合はこの総合課税制度を選択すると配当に関する税額は安くなります。
総合課税では、配当控除も使えますね。

⑵確定申告で分離課税を選択する
配当金については株の譲渡所得と同様に分離課税を選択することもでき、分離課税を選択すると税率は株式の譲渡と同様に所得税15.315%、住民税5%となり、株式譲渡で損失が出ていれば損益通算をすることにより税金の一部を取り戻すこともできます。
分離課税では、配当控除は使えませんよ。

⑶確定申告せず申告不要制度を選択する
上場株式の配当は確定申告不要制度も採用できるため、何もせずに当初から引かれている税額20.315%を引かれたままにしておくという手もあります。

所得税と住民税で異なる課税方式は選べなくなった

令和4年の確定申告までは、所得税と住民税の課税方式を異なる方法を選択することが可能でした。
目安として、課税所得900万円以下なら、所得税は総合課税で住民税は申告不要が有利など。
しかし、令和5年の確定申告から、所得税と異なる課税方式は選べなくなりました。
このことから、申告書第二表の選択欄も廃止されましたね。

それではまた。