歯医者さんが金歯を金属業者へ売却した時の税金

 こんにちは、税理士の的場です。
 皆さま、確定申告お疲れ様でした。
 昨日で確定申告の期限ですが、無事に期限内に終わりましたでしょうか。
 わたしは、自分の確定申告は1月中に終了させておりますので、2月初旬には還付されます。
 自分の確定申告は必ず一番最初にやります。それは、確定申告書の用紙変更や改正点が、自分の申告をもって分かり、クライアントさまへフィードバックできるからです。
 
 さて本日は、確定申告電話相談センターへのご相談で面白いものがありましたのでご紹介させていただきます。
 歯科医院を廃業したご相談者様が、過去から長い間保管しておいた、回収した金歯や歯科スクラップを業者に売却したところ、かなりの収入があったとのことで、申告の要否と所得区分を教えて欲しいと…。

売却した場合

 歯科金属や金歯・撤去冠・湯だまり・削り粉などの歯科スクラップを金属業者へ売却した時の税金についてですが、事業においては、歯科金属などを売却時に得た売却額は、雑収入として必ず計上しなければなりません。
 歯科スクラップや歯科金属自体は、治療の過程で発生する副産物であり、仕入を伴わない性質をもつため、その価値や正確な保有量を把握することは困難です。
 しかし、金属業者が買取りをすることによって発生する売却額をもって価値把握が可能となります。 医院や技工所が営利するにあたり、金属クズは必ず出るものと周知されていますので、この売却益による雑収入は計上されるのは当然だと考えられています。
 技工所や医院の売上の規模や事業内容から売却益を逆算し、雑収入のおおよその金額を推測することはさほど難しい作業ではないため、この勘定科目がゼロだったり、極端に少なかったりすることは不自然だと着目される可能性が高くなると言わざるを得ません。
 

給与所得の方が売却したら

 今回のケースのように、歯科医院を廃業した個人の方が、回収した金歯や歯科金属・歯科スクラップ売却した場合は、譲渡所得とみなされます。譲渡所得では、売却益含む譲渡所得額が年間50万円の特別控除を超えた分のみ課税対象となり、他の給与所得等と合わせての課税対象となります。
 土地建物や株式等以外の資産を売ったときの譲渡所得は、給与所得や事業所得などの所得と合わせて総合課税の対象となります。
 この総合課税の譲渡所得は、取得したときから売ったときまでの所有期間によって長期と短期の二つに分かれますが、回収した金歯の所有期間の判定は非常に難しいですね。
 総合課税の譲渡所得の金額は次のように計算し、短期譲渡所得の金額は全額が総合課税の対象になりますが、長期譲渡所得の金額はその2分の1が総合課税の対象になります。
 譲渡所得の金額=譲渡価額-(取得費+譲渡費用)-50万円
 
 取得費について、税務署の方とお話をしたのですが、概算取得費の特例を使って問題なさそうでした。

 それではまた。