2週間で退会した「税理士マッチングサイト」に思うこと
こんにちは、税理士の的場です。
みなさん、ゴールデンウイークはいかがお過ごしでしたか。
ことしは、どこの観光地も賑わっていたようですね。国外への旅行者は昨年の1.7倍だそうです。
わたしは、久しぶりに軽井沢に出かけました。
もれなく関越自動車道の渋滞にはまってしまいました。
さて、4月の初めに所謂「税理士マッチングサイト」というものに登録をしてみました。
理由は販路開拓です。
ここから、ただ安ければよいという以外の依頼者を探したい。
でも実際は出来ません。
4月の初めに登録をしましたが、4月中旬には退会を決めました、2週間で退会を決めました。
税理士(他士業も含む)がこれをやってはいけません、自分でやってみて実感したことの一つです。
初回の登録は、税理士資格の確認などしっかりやっているようでした。
電話による面談審査の段階で、非常に疑問に感じたことがあります。
それは、「依頼者に中抜き(手数料は税理士が払っている成約手数料※のこと)のことは言ってはいけない」ということを、審査担当者から説明がありました。これは、調べれば分かることですが、言うなということです。
※成約手数料…契約が成立すると、税込見積金額の38.5%が税理士側に請求されます。顧問契約の場合は、年間の顧問料総額になります。
どういうことか。
この税理士マッチングサイトでは見積もりは無料、そして手数料も無料、何もかもが無料というのが売りになっています。それではいったい税理士マッチングサイトはどこから収入を得ているかというと、税理士側から徴収しています。
依頼者は、決算申告料を含めて1,000,000円を税理士に支払ったとします。
でも、税理士の手元には715,000円しか残りません。
依頼者はミツモアに中抜きをされていることを知らないから、1,000,000円相当の仕事量とサービスを期待する、可能性がある。
一方で、税理士は715,000円相当のサービスを提供する、可能性がある。
お互いにWinWinの関係性は築けないだろうと考えると、依頼者と税理士の関係は希薄になると考えられる。
でも、それはシステムなのでやむを得ないし、1,000,000円のサービスを提供するのが仕事というものだ。
退会の理由は別にある。
マッチングまでが雑すぎる
まず、依頼者側に5つの税理士からの自動応募というものが行われる。
メッセージは全て既読か未読がつくので、この点はありがたい。
その後、依頼者は面談候補日(希望日時を依頼者自身が選択)と面談方法(対面、Web、Tel)を選択する。
自動的に、税理士側にメッセージが届く。
税理士は、その面談候補日のなかから、面談可能日を選択する。
対面希望なら対面場所(通常は税理士事務所)、Web希望ならミーテイングIDとURLを作成、Tel希望なら電話をするか電話をしてもらうかを選択する。
すると、面談が確定し、アプリとサイト上のカレンダーにスケジュール管理(日時と依頼者の名前がスケジューリング)される。
ここまでは、良いし全く普通である。
問題は、この後です。
そのほとんど(おおよそ95%)が、その時間になっても対面面談にも来ないし、Webミーテイングにも来ませんし、電話もかかってきません。
対面面談のため、お茶を用意して待っていましたが、待てど暮らせど来ない。
対面面談を希望した依頼者の方に、電話をしたところ、「いま食事中です。また改めてご連絡します。」と言われました。
そして「わたしはコンファームはしておりません」と…、既読になっていたが。
これが数回(おおよそ10回)ほど繰り返されました。
そこで、運営側にメールで確認をしました。
わたし「〇月〇日×時×分に、対面面談の時間になってもこないがこれはどういうことか」
運営側「ご自身でお相手に確認を取ってください。」
わたし「相手が面談候補日と面談方式を選んでますよね…」
運営側「その日程で可能かは適宜対応してください。」
わたし「では、その日程で可能かを連絡して返信をいつまで待てば良いのですか。面談候補日の面談日時の30分前にお願いしますと言われる可能性もありますよね、30分前に行けませんと言われる可能性もありますよね。」
運営側「依頼時の候補日に関してはやはりあくまで候補なので確定ではございません。今回のように候補日を入れたことを失念してらっしゃる方や、候補日を登録したものの予定が変わるかたがいらっしゃいますので候補日を開示していただいているお客様に関しては、チャットでその日時で確定していいか最終確認を行っていただくために、電話面談のリクエストを必ずお願いいたします。」(原文ママ)
こちらの時間をまったく勘案しない、気にしない、ひどい作りであることを実感して退会を決めました。
税理士マッチングサイトがあう税理士もいらっしゃるでしょうが、わたしは違います。
もう一つ、退会を決めた理由があります。
税理士マッチングサイトをみる依頼者の多くは、金額面が最優先事項となります。
税理士の人となりは、劣後です。
税理士マッチングサイトの優先劣後は、わたしの方向性とはまったくちがうことから退会を決めました。
それではまた。