将来のお金をつくりつつ、節税もできる

こんにちは、税理士の的場です。
日本ではあまり馴染みのない言葉ですが、「ハッピーリタイアメント(happy retirement)」というものがあります。
これは、経営状況が好調な時期に経営者が豊かな老後資金を確保した後に退職して、悠々自適な引退生活に入ることを言います。
年金がない、日本ほどの制度設計がない(日本は合ってないようなものかもだが)海外ではこのような言葉があるわけです。
税理士業でよくご相談いただく内容です。
小規模企業共済の掛金を払うことで、将来のお金をつくりつつ、節税もできるわけです。
掛金を年払いできることもあり、フリーランスが節税するときに利用されることが多いです。
特徴はこんな感じ。
・掛金の最大年84万円まで所得控除可能
・退職金とか年金として受け取れる
・受け取り時の控除も大きい(退職所得扱い)
節税しながら退職金を準備しましょう
小規模企業共済は、小規模な事業者を対象としております。
商業やサービス業、士業が加入できます。
わたしの事務所も小規模事業者ですので加入しています。
もちろん満額で。
サラリーマンの副業は加入できません。
月額1,000円〜70,000円の掛金を自由に設定(500円刻み)することができます。
そして退職時に共済金を退職金とか年金として受け取るものになっています。
年中の掛金が全額所得控除になる(入口)
掛金は「小規模企業共済等掛金控除」として、社会保険料控除や生命保険料控除と同じく控除ができます。
月額の上限70,000円を掛金とした場合、70,000円×12=840,000円が控除できます。
掛金は、毎月払い・半年払い・年払いが設定できます。
わたしは資金繰りをフラットに見ていきたいので毎月払い(70,000円×12ヶ月)としております。
銀行の融資もそうですが、節税も必ず自分で行なってからお客様にご説明します。
銀行残高には注意して
12月に年払いしている場合、12月に払えなかったというケースがあります。
12月に払えなかったケースとはどんなケースか。
1年目は振り込み。
2年目以降は口座振替になります。
2年目以降、掛金年額が銀行口座の残高不足で振替えができないということがありえます。
その年は払っていないので、小規模企業共済の控除証明書が手元にあったとしても、小規模企業共済の控除を受けられません。
12月に年払いしている場合には、毎年12月中旬に口座振替になります。
ですから銀行残高は必ず確認してください。
受け取りの際の控除も大きい(出口)
節税は出口戦略も大切です。
共済金の受け取りは一括・分割・その併用を選択できます。
一括で受け取る場合、「退職所得」扱いとなります。
つまり、退職所得控除が取れるわけです。
勤続年数が20年超であれば、800万円+20年を超えた年数×70万円の控除が取れます。
そして退職所得は、「チョイっと半分」(税理士試験の所得税法勉強の際の語呂合わせ)です。
総合長期と一時所得は半分(1/2)にするという覚え方です。
ですから、退職金から控除を引いた金額の半分が課税対象となります。
数千万円の退職金にならない限り大きな税金はほぼ発生しませんよ。
申し込みはWebで出来ます
申し込みは以下のURLから出来ます。
https://kyosai-web.smrj.go.jp/online/describe/index_01.html
所要時間は40分ほど。(私は20分ほどでした)
でこんなことが確認事項として聞かれます。
1 事業を兼業している給与所得者ではないか。
※アパート経営の事業を兼業しているサラリーマンではないか。
2 会社役員の地位で加入する場合、履歴事項全部証明書(発行後3ヵ月以内の商業登記簿謄本)に役員(合名、合資、合同会社及び士業法人にあたっては社員)として登記されていないか。
※個人事業主で申し込まれる方は、「はい」にチェックする
3 独立行政法人勤労者退職金共済機構が運営する「中小企業退職金共済制度」、「建設業退職金共済制度」、「清酒製造業退職金共済制度」、「林業退職金共済制度」の被共済者ではないか。
4 個人事業主の地位で加入する場合、事業所得で確定申告しているか(開業から1年を経過しておらず確定申告を行っていない場合は、税務署に提出した個人事業の開廃業等届出書がある)。
※会社員役員で申し込まれる方は、「はい」にチェックする
5 協同組合、医療法人、学校法人、宗教法人、社会福祉法人、社団法人、財団法人、NPO法人等の直接営利を目的としない法人等の役員ではないか。
6 「制度の概要」を参照したか。
こんな感じです。
お客様で、マイナンバーカードをお持ちでない方がおりましたが、その場合は紙での申請になります。
Webでの申し込みはマイナポータルからログインするためです。
あと最近よく聞くのは、添付資料が開けなかったという連絡が来たという話を見聞きします。
中小機構から連絡があり、添付資料を再提出してほしいと。
その場合は、以下のURLから添付資料のみ提出が可能です。
https://kyosai-web.smrj.go.jp/topics/page_00021.html
写真はハワイ時代のものです。(ハワイ島)
それではまた。