美術品の相続税評価は

相続税の税務調査では、古美術品の評価について論点となることがあります。
高価である古美術品を相続した場合、鑑定評価書付きで申告すことは少なくありません。

※美術品の相続税評価は by Sony α4+35mmF1.4

美術品の評価方法

古美術品などの歴史ある書画骨とう品は、誰が持っていてもおかしくない代物です。
趣味で集めていることを周りが知っている場合もあれば、相続して初めて分かる場合もあります。

亡くなった方が価値ある書画骨とう品を所有していれば、それを相続財産として扱わなければなりません。
美術品の鑑定を取った結果、高額な美術品と判明し、相続税の納税額に大きくなるケースはよくあります。

では、相続財産の評価をどのようにすべきなのでしょうか。

評価の方法は、財産評価基本通達においては、
①美術品の販売業者が所有している美術品
②自宅に飾っている美術品
このように2種類に分けられます。

ここでは、実務上多い②のケースを説明します。

自宅に飾っている美術品

自宅に飾っている美術品は、精通者意見価格や売買実例価格などを参考にして評価します。
精通者意見価格とは、その分野の専門家による鑑定結果によって得られた価格のことをいいます。
売買実例価格とは、インターネットの情報や市場での実例を用いて買い取ってもらったときに換金してもらえる価格のことをいいます。

実際に実務の現場でよく用いられている評価方法は次の4種類です。
① 同様の物が売られている場合には、その価額を参考にして評価する
② 買い取りを行った会社等の買取り価格を参考にして評価する
③ 古美術商などにお願いして鑑定価格を算出してもらい評価する
④ 購入価格が分かっている場合には、それを参考にして評価する

税務調査の現場で、古美術寄りのものが出てきたらどうするか。
相続税の税務調査の現場では、デジカメが大活躍します。

相続税だけではありませんが、デジカメは必ず持ってきています。
デジカメで古美術品の写真を撮影して、税務署に持っていき分析します。

では税務署の人が目が効くか。
結論からお伝えすると、調査官も分かっていない人がほとんです。

税務署が好きな番組は、テレ東「開運!なんでも鑑定団」です。
資格の大原で相続税の講義中に相続税の先生が言ってました。

「あの番組は税務署の人はみんな見てますよ。」
本当か嘘かはわかりませんが、今でもよく覚えてます。

なんでも鑑定団の鑑定額が、そのままお宝の財産評価となるわけではありません。
しかし、税務署は、お宝の財産評価の目安として目をつける可能性はあります。

相続税のAI税務調査が開始します

国税庁は令和7年7月より、相続税の税務調査において、AIを活用したAI税務調査を開始します。
AIの活用により調査対象の選定事務が効率化されます。

こういうところのAI活用は大賛成です。

相続税は、毎年課税のタイミングのある法人税や所得税とは異なります。
もちろん相続税の課税のタイミングは原則的には一回だけです。

税務調査が必要な事案を取りこぼさない体制づくりの強化は素晴らしいと思います。
AIがどのように相続税の申告漏れの税務リスクを判定するか。

過去の調査事績を踏まえ、これまでに申告漏れが生じた相続税申告書や財産債務調書の法定調書などの
情報から申告誤りの傾向を分析して、0〜1の間で税務リスクをスコア付けしているようです。

独立後は、AIの使い方を考えるようになりました。
AIでブログを書いてもらおうとは思いません。

もちろんそれなりの文章を、かなりのものを書いてくれます。
でも私じゃないです。

独立後の効率化としてのAI活用をきちんと考えないといけません。

ちなみに、相続開始に近い時期に購入した古美術品は、履歴などがありますから、
購入金額を明確するのは楽ですね。