税務調査のみ対応できるか
結論から申し上げますと「やってません」
他はどうか知りませんが、うちではやってません。
理由は色々あります。

ヒアリング
余計な話はしない。
聞かれていないことは話さない。
社長が自社の業績、営業面を話しだすと止まらない傾向にあるので注意 税務調査初日は10時から調査が始まります。 だいたい調査官2名が会社に訪問をして、初日午前中は社長に対してインタビューが行われます。
一見関係のないような質問と共感を通して情報を集めます。
社長という職業はコミュ力が異常に高く、自分の事業に誇りを持っている方が多いです。
調査官が事業内容に興味を持ってくれるとマシンガントークで説明しちゃう方もいらっしゃいます。ポロっと調査を進めるうえでのヒントを言っちゃうこともある。
できるだけボロが出ないように、ヒントを与えないように聞かれたことに最低限の回答で大丈夫です。よく言われるのが趣味の話ですね。趣味が釣りだったり、ゴルフだったり屋外レジャーだったりすると、趣味の経費を交際費、旅費交通費に上げていないか、場所は適切かという観点で調査が行われたりします。
インタビューでは、調査官も丁寧に事前調査を行ってきますので、会社HP、過去調査情報、SNS情報は把握していると考えたほうがいいです。質問に対しては誠実に嘘なく回答する、だけど話しすぎないということを意識してください。初日のインタビューでは、事業に真剣に取り組んでいる誠実な人柄をアピールできれば成功だと言えます。
スタッフへの周知
調査期間中、喫煙室・オープンスペースで、仕事の話しをしないように徹底させる。
調査期間中は戒厳令とまではいいませんが、社内に税務調査期間中であり、不用意な会話は避けるように周知をしましょう。
喫煙室、エレベーター、ビルオープンスペースでは仕事の話してしまう可能性があるので、会話はしない徹底してください。
社員の会話から何かに発展したケースは聞いたことはないですが、調査官の心証もあるのでご注意ください。
調査官はお昼は外に出て外食でランチを済ませますし、社内の喫煙室は使いませんので、社員と接触する可能性は低いです。
常駐しないで
良く社長からご質問いただくことです。
「調査のときずっと居ないとダメ?」
税務調査の現場に常駐する必要はなく、必要がある場合にこちらから呼びます。
これは社長のお時間を大事にして、本業に専念ください、という意味です。
社長又は経理の方が、調査が行われる会議室に常駐してしまうと業務が止まってしまうので、必要のあるときだけ調査の対応をしていただければ結構です。
帳簿、証票でコピーの必要があるものはふせんをはってもらう、質問は紙・PCで質問票を作成してもらってまとめてもらう、というこちらの時間を有効に使えるようにリクエストしてください。
質問の時間のため午後一、帰る前など定例の時間を設定してコミュニケーションを時間効率良く対応してもらったりします。
書類の整理整頓
税務調査にて提出する元帳や請求書領収書、稟議書等の証憑書類に付箋が貼っている場合には、その部分が注目されるため事前に取り外しておいてください。
提出した資料は、必ず提出済みファイル用のコピー(会社控え)を取ってください、これ重要です。
稟議書、契約書などは重要箇所にマーカー、ふせんがはってあることもあります。
ここは注目されやすいので外しておくのが無難です。
プロジェクト情報、出張情報、契約情報の思わぬところから税務上の問題点の仮説を立てながら税務調査の指摘を考えていきます。数字ではないところから思わぬ指摘をされることが多いので、正しい資料を提出し、不要な箇所に注目はさせないことが重要です。
いろいろな資料を提出することになるので、提出した資料はもう一部コピーをとってファイルに紙保管又はスキャンで保存しておいてください。
パソコン
パソコンを用意してシステムにアクセスすることを要求された場合には、何か理由をつけて断っていただきたいです。
そしてコピーなどは他のスタッフにしていただきます。
頼まれた物は必ず先方用と当社用の2部用意しましょう、ここ重要です。
パソコンの貸与を依頼されることがありますが、現状は任意対応です。
こちらはお断りしていただいて大丈夫です。
万が一、貸与する場合でも空のPCを貸与し、社内システムにはアクセスできないPCを貸与してください。
税務調査ではその資料の調査が必要と認められる理由がなければ提出する必要はありません。
全てのデータへのアクセス権を与える必要はないと考えております。
今後の税務調査では調査官が自前のパソコンを持ってくるようですので、紙ではなくデータでのやりとりが標準的な対応になってくるかも。
面接での応対
面接での応対は必ず2人以上で行い、どのような質問を受けたか、メモを準備してください。
これは半分は言った言わないを避けるため、半分は誠実な対応をするためです。
税務調査ではかなりの量の資料依頼と質問をもらいます。
1つ1つタイムリーにタスク処理するために資料依頼・質問はメモを取って対応することをお勧めします。
このメモをもって税理士と打ち合わせをしますので、とても重要ですよ。
質問は録音して文字起こしで議事録として質問事項をまとめたほうが効率的なので、可能であれば録音させてもらいましょう。(無断では行うのは禁止ですからね)
確実なものだけ答える
当たり前ですが「聞かれた事」だけに返答してください。
答えがあやふやな場合には、確認して後日返答する旨を伝えます。
質問をもらったその場で答える必要は全くありません。
資料の見かた、簡単に回答できる内容であればその場でタスクも貯めることなくさばいてしまって良いです。
税理士と相談のうえ対応を決めたほうがいい場面もあります。
基本の考え方としては、誤った情報を避けるためにきちんと調べてからの回答が望ましいです。
指摘された事
調査で指摘された事の受け入れは、税理士と検討の上返答する旨を伝え、即答しないで。
調査の最終日か実地調査の数日後に税務調査結果として調査で指摘された事をまとめてきます。
調査官によっては決まり事のように進めようとしますが、ここからは税法に照らして調査で指摘された事に納得感があるかを検討します。真っ当な指摘であれば受け入れをします。
あまり聞いたことがありませんが理解できないような事であればこちらの正当性を主張して取り下げるように議論します。
指摘事項が揃ってからも、ほぼ100%金額は動くので決定事項ではない点だけご認識してください。
論拠のないことはNGですが、正当に主張できる論点は納税者の権利としてきちんと議論しましょう。

