賃上げ促進税制の適用について

賃上げ促進税制を適用することで、中小企業は従業員への給与増加額に対し、最大45%の法人税(または所得税)控除を受けることが可能です。
従来の所得拡大促進税制(最大15%)から大幅に拡充されており、賃上げだけでなく教育訓練や子育て支援への取り組みを組み合わせることで、節税効果を最大化できます。

※賃上げ促進税制の適用について by iPhone 17 Pro Max

所得拡大促進税制から「賃上げ促進税制」への進化

かつての中小企業向け税制であった「所得拡大促進税制」は、現在「賃上げ促進税制」へと姿を変え、その内容も大幅に強化されています。
改正の背景には、昨今の物価高騰に負けない持続的な賃上げを国が強力にバックアップする狙いがあります。

法人税法の受験勉強をしていた際は、「所得拡大促進税制」でした。
ころころ名前を変えることはやめてほしいですが…

旧制度では、給与総額を前年度より1.5%以上増加させることが基本要件でしたが、新制度でもこの基準は維持されています。
しかし、大きな違いはその「出口」である税額控除率にあります。

以前は最大でも15%程度の控除でしたが、新制度では賃上げ率や追加要件に応じて段階的に控除率がアップする仕組みになっています。

また、単なる給与の増額だけでなく、教育訓練費の支出や、女性活躍・子育て支援(えるぼし・くるみん認定)といった「働きやすさ」への投資も評価対象に加わりました。
これにより、本制度は単なる節税策にとどまらず、企業の組織力を高めるための総合的な成長支援策へと進化したと言えるでしょう。

えるぼし・くるみん認定とか何だろうかそのネーミングセンスと呆れます。

税額控除を最大化するための「上乗せ要件」の仕組み

賃上げ促進税制の最大の魅力は、複数の要件を組み合わせることで控除率を積み上げられる点です。
中小企業の場合、全従業員への給与支給額が前年度より1.5%以上増えれば15%の控除、2.5%以上増えれば30%の控除が受けられます。

ここからが重要ですが、さらに「上乗せ要件」を活用することで最大45%まで引き上げることが可能です。

一つ目の上乗せ要件は「教育訓練費」です。教育訓練費を前年度より5%以上増加させた場合、さらに10%の控除が加算されます。

二つ目は「子育て・女性活躍支援」です。くるみん認定やえるぼし認定(二つ星以上)を取得している企業には、さらに5%が加算されます。

これらの要件をすべて満たせば、賃上げした金額の半分近くが税金から戻ってくる計算になります。
これは中小企業の資金繰りにとって極めて大きなインパクトです。

人材不足が深刻化する中で、採用力を高めるための「賃上げ」と、既存社員のスキルを磨く「教育」、そして定着を促す「環境整備」を同時に進めることが、経営上の大きなメリットに直結する仕組みになっています。

導入時の注意点と申告手続きの実務

非常にメリットの大きい制度ですが、実務上はいくつか注意すべき点があります。
まず、対象となるのは「国内雇用者」に支払われる給与です。

これにはパートやアルバイト、日雇い労働者も含まれますが、法人の役員やその親族などの「特殊関係者」に支払われる給与は対象外となります。
親族経営の多い中小企業では、集計時にこれらを除外して計算する必要があるため注意が必要です。

また、教育訓練費の上乗せを適用する場合、その内容が規定の範囲内であるか(外部講師への謝金や研修委託費など)を証明する書類の保管が求められます。
申告に際しては「給与等の支給額が増加した場合の法人税額の特別控除に関する明細書」等の添付が必要であり、事前の申請は不要ですが、確定申告時の手続きが必須となります。

最後に、本制度は「青色申告」を行っている事業主が対象です。
白色申告では適用できない点にも留意してください。(もちろん税額が出ないと意味がないので赤字企業にはまだ関係のない話です)

制度の適用期間は、令和6年度の改正により令和9年3月31日までに開始する事業年度まで延長されています。
まずは自社の現在の給与水準と、今後の投資計画を照らし合わせ、どの程度の減税が見込めるかシミュレーションすることをお勧めします。