決算賞与の「通知」に係る損金性について

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決算賞与の損金算入要件と「支給日に在職」の罠

決算までに賞与を現預金で支払えない場合でも、一定の要件を満たせば未払金として損金算入が認められます(法人税法施行令第72条の3第1項第2号)。しかし、ここで最も注意すべきは「受給権の確定」です。

多くの企業で「支給日に在職していること」を条件とする慣習がありますが、これを通知に含めてしまうと、税務上は損金算入が否認されるリスクが極めて高くなります。

法人税基本通達9-2-43では、支給日に在職する者のみを対象とする通知は、有効な通知として認められないと明示されています。つまり、期末までに「誰にいくら払うか」が確定しており、それが全対象者に通知されている必要があるのです。

退職予定者をあらかじめ除外するような条件(停止条件)を付すことは避け、確定した支給額を全使用人に通知する体制を整えなければなりません。

電子メールによる通知と「到達」の定義

IT化が進む中、賞与額の通知を電子メールで行う企業が増えています。ここでの論点は、メールがいつ「通知」として効力を発揮するかという点です。

民法第97条の「到達主義」に基づけば、通知は相手方の支配圏内に入った時に効力を生じます。

実務上、使用人のメールボックス(サーバー)にデータが格納され、本人がログインして確認できる状態になれば「到達」したとみなされます。したがって、本人が実際にメールを開封したかどうか、あるいは既読になったかどうかは、損金算入の要件を左右するものではありません。

ただし、迷惑メールフォルダへの自動振り分けやシステムトラブルのリスクを考慮すると、送信して終わりではなく、全従業員がアクセス可能な社内掲示板や、受領確認が取れるシステムの利用がより安全と言えます。

確実性を期すならば、書面での手渡しと受領印の受領が、税務調査において最も強力な証拠となります。

期末が休日の場合の注意点と通則法の適用

決算日が土日や祝日の場合、通知のタイミングには細心の注意が必要です。

国税通則法第10条第2項では、申告や納税の期限が休日の場合は翌営業日に延長される規定がありますが、決算賞与の通知は「一定の事実を判断する基準日」に関するものであり、この延長規定の対象外であると解釈されます。

つまり、期末が休日の場合でも、原則としてその事業年度内に通知を完了させなければなりません。判例(最高裁昭和36年4月20日等)によれば、通知は相手方が「了知可能な状態」に置かれる必要があります。

休日に会社メールを送っても、従業員が私生活を送っておりメールを確認することが期待できない状況であれば、「通知が到達した」と認められないリスクが生じます。

実務的な対応としては、期末が休日にあたる場合は、その直前の「平日の勤務時間内」までに、全従業員が内容を確認できる状態で通知を完了させておくべきでしょう。